私と大西洋クロマグロの出会い

田中 一です。
ユーラシア大陸・最西南端のポルトガル・アルガルベ地方で、定置網漁業会社に所属しながら、大西洋クロマグロの研究をしています。

子供の頃から身近だったマグロ

私は、マグロの町・静岡/清水で生まれ育った。
(最近知ったことだが、静岡はマグロの消費量No,1の様だ。)
子供の頃、誕生日や何かイベントがあると、マグロで手巻き寿司を食べた。
マグロは近所の魚屋さんに買いに行き、いつも美味しいマグロだったのを覚えている。

大学卒業後、静岡中央卸売市場の水産仲卸会社で働き始めた。
この時もマグロは身近にあった。
毎日、冷凍マグロ・生鮮マグロが市場に並んでいた。
市場で、マグロを見ない日は一度としてなかった。

清水でシラス漁師・桜エビ漁師になった時もマグロは身近にあった。
清水港の岸壁で、大きな冷凍マグロ運搬船や、冷凍マグロ延縄船から、冷凍マグロがクレーンで吊り上げられるのを横目に見ていた。

この今まで身近にあったマグロが、どの海で、誰が獲ったかなんて考えもしなかった。
マグロの種類さえ知らなかった。

マグロはマグロで、いつも当たり前の様にあるものだった。
そう、当たり前のように。

マグロとの出会い

今までの人生で、マグロは身近にあったが、私は、マグロの知識ゼロ。
そんな私が、2016年から、ポルトガルでマグロ漁師をする事になる。

ポルトガルに来てから、様々なビデオを見せて貰い、少し勉強して知った気になっていた。
2月にポルトガルで生活・仕事を始めて、3ヶ月経った日。

今でも忘れない。

2016年5月12日。
確か、3日間の時化明けの操業。

すこし、波(ウネリ)が残っていた。

定置網の操業が始まる。

私は、網内のマグロの量を確認する為、現地ダイバーと共にボンベを背負い海に飛び込んだ。
少し潜ると、そこには今まで見た事のない量のマグロが泳いでいた。
自分より明らかに大きいマグロ(150kg)がウヨウヨ(161尾)泳いでいて、マグロがギョロっと私の方を見ている。
水中というアウェー感もあり、若干の恐怖心が湧いたのを覚えている。

けど、すぐに印象は変わった。
マグロのその”美しさ・大きさ”に魅了された。
泳ぎは、しなやかでパワフル、流線型の身体は美しく、ずっと見てられる感じがした。

「これが、今まで身近にあったマグロか」
と、衝撃の出会いだった。

私と大西洋クロマグロの出会い
慌てて獲った写真(2016年5月12日)

マグロの行先

この日、出会ったマグロ達は、冷凍加工船で冷凍加工された後に、静岡・清水へ向かった。
ユーラシア大陸・最西南端のポルトガルで、私が出会ったマグロが、私の生まれ育った静岡・清水へ。


私の中の何かが繋がった。
何かが。


私は、出会ったマグロの事をもっと知りたくなった。
私は、この日出会ったマグロ。
大西洋クロマグロの研究を始めることになる。






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